獣医さんになるのをあきらめた人の話

2015年3月25日(水) 2015-03-25T10:35:00+09:00 3134 / 6

すいません、猫の話ではなく完全に私の話ｗｗｗ

私の子供の頃の夢は獣医さんでした。
まぁ結果的には残念ながらなれませんでしたが。
いつか書きたいなと思っていた日記です。
さっきいい話を読んだので書きたくなりました。

私の実家はペット不可マンションでした。
ただし、飼ってる人はものすごくたくさんいました。
一番デカい犬はGピレニーズですよ(笑)
…もとい、そのうえ、父が動物嫌いでした。
動物を飼うなんて夢のまた夢

でも困ったことに娘（私）は動物大好きっこ。
猫や犬を拾ってきては捨ててこいと言われ、父親と何度大ゲンカをし涙したか。

小学校の時、飼育委員になりました。
理由は、うさぎ小屋に入れるからｗ
そこで、隣のクラスのTちゃんとYちゃんと知り合います。
（厳密には、Tちゃんは幼稚園前からの幼馴染で、そこで深く仲良くなります。）

TちゃんとYちゃんと3人で、動物のお世話をたくさんしました。
毎日、うさぎと鶏の幸せだけを考えて生きてました。
ある日突然凶暴な鶏が増えていたり、誤って脱走した子ウサギが、別のふざけた男子によって追い回され、急に方向転換して踏まれて亡くなったり、うさぎ小屋がボロボロすぎてオスメスぐちゃぐちゃになって、すぐ大量繁殖しちゃったり、近親交配なもんだから障害を持って生まれてしまったり、もう毎回事件の連続でした。
私たちが飼育委員だった6年生の時の担当の先生が動物に理解ある人で…なんと、私たちの学年が贈呈する卒業記念品を、うさぎ小屋に決めてくれたんです！
なんていい先生！
これで、雄雌がぐちゃぐちゃになる事もなく、増えすぎたり近親交配もなくなる。
今思えば、色々大人の事情があっただろうに…
是非うさぎ小屋にと提案してくれた先生に、今でも感謝しています。

そして、私たち3人は、「大人になったら獣医になろうね」と約束してそれぞれの道を歩み始めました。
Tちゃんは特に動物を助けたいという気持ちが強い優しい子で、家でも迷子の犬を飼ってたりしてました。

あ、漫画「どうぶつのお医者さん」の影響じゃないですよ。
「どうぶつのお医者さん」は中学に入ってからかな？
これのせいで、獣医学部の競争率があがっていったのです^^;

あれから3年とちょっとたった高校1年生。
高校入ってすぐ、受験が終わったばかりなのに模試。
「志望校書いてください」
そういう学校だったんです。
自分が何が得意なのか、高校になればより内容も難しくなるし、何を目指せるかなんかわからないじゃないですか。
しょうがないから、獣医学部がある大学を志望校に書いて出しました。
その模試では、校内上位100位までが校内の掲示板に張り出されます。
気がついたら、私、98位ぐらいでしたｗｗｗ
ギリギリで半端な成績披露されるより、はり出されないほうが良かった(笑)

中学高校に入ると得意科目・苦手科目もはっきりしてきますよね。
私はたまたま運よく理系脳だったからよかったけど、中学高校で勉強してみたら苦手だった、ってこともあるだろうと思って、小学校の時にした約束なんて忘れてたんです。

そして、4年半過ぎた、高校2年の秋。
志望校を具体的に決める時期になってきました。
私、獣医なんて絶対無理とか思ってたんですが、「意外と狙える範囲かも」ということが判明。
当時、東京から通える範囲の獣医学部は5つ、そのうち狙える範囲は3つ。
（だって一つはT大だもの…）
とある予備校が出していた、獣医になるための本も穴が開くほど読みました。
学校説明会や文化祭に、何度も足を運びました。
肩にピグミーマーモセット（小さいサル）を乗せてお好み焼きを売る学生を見てうわぁ♡ってなったり、入学したら馬術部に入ろうかなとか夢膨らませてみたり。

そしたら！
とある大学で、Tちゃんに会ったんです！
最初は見間違えかも？と思って声をかけられなかったんだけど、あれは間違いなくTちゃんだった！

狙える範囲かも？と思ってから、死ぬ気で勉強しました。
お金がないから、勉強のメインは学校とラジオ講座。
夏期講習はバイトでためたお金で（ホントはバイト禁止ｗ）。
数学の偏差値、22上げました。どんだけ底辺だったんだよなぁって感じ。
まぁ、最終的にアホに変わりはなく、夏休みに推薦入試で一か八かってところぐらいまでには仕上がりました。
それで、やっと父に相談したんです。
行けるかどうかわからないけど、獣医学部に行きたい、と。

そしたらなんて言ったと思いますか。
一生忘れない。
「チッ冗談じゃねぇ、就職だ、就　職　。
どうしても行きたかったら短大にしろ！」

父親嫌いでずっと進路の相談をしてこなかった自分に責任はありますが、大学ぐらい行くのが当たり前と思っていただけにショックでした。
確かにウチは兄弟が多く貧しかったので、6年制の学部に行くこと、運よく獣医になれても、開業できるだけの資金はないこと、卒業しても3年のインターンがあり女なら早く結婚出産しちゃうかもしれないことなどを考えて…あきらめるしかありませんでした。

で、次に得意だった美術か洋裁の道に進もうと思って、洋裁の大学に行ったのです。
全然違う道ｗｗｗ
手先が器用だったんです。だから獣医になったら手術とかうまそうと思っていたんですがね(笑)
もちろん家政学部ですら父から反対されたので、奨学金を借りての通学でした。
（もう返し終わりました。ふぅ）

大人になって、動物に関わる仕事って本当に大変だなぁーっていうのを知りました。
小学生の私は無垢すぎました。
避妊手術をしたがらない無責任な飼い主、病気とわかっていても治療にお金をかけない、犬がうるさいから声帯取ってくれ、爪が鋭いから爪取る手術してくれ、猫拾ったけど飼えないから病院前に置いていく人…
でも、飼い主様はお客様…文句言いたくても声高らかに言えないじゃないですか。
医療費払えません、って言われても商売だから断るしかないじゃないですか。
きっと私は獣医さんになれたとしても、夢と現実のギャップに精神やられて続けられなかったと思います。

受験生の時に読んだ本に「獣医はサービス業。飼い主とのコミュニケーションが最も大事」と書かれていたんですね。
当時はなんでだろう？手先が器用とか知識が豊富なほうがいいに決まってるだろと思ったんですが、今はそれがわかるような気がします。

きっとこれはこれでよかったんだ
そう思うようにしています。

結局Tちゃんは、風のうわさによると獣医学部？には受かったものの、獣医学科に入れずに畜産学科だったか動物応用だったかに入ったそうです。
Yちゃんは転校してしまったので不明。
その後Tちゃんは転部（科？）したとかしないとか？
誰よりも動物に優しいTちゃん。
今どうしてるんだろうか？
もしかしたら立派な獣医さんになってるのかな？
かなえられなかった夢をかなえてくれてたら、うれしいなと思います。