認知症の祖母と猫

2016年9月25日(日) 2016-09-25T11:28:07+09:00 271 / 4

認知症、要介護の祖母がいる。
朝晩と、デイサービスが休みの日は介護が必要なため、どうせ行くならと祖母の居住の一部屋を借りて、許可が曖昧なまま、少しばかり保護猫を寄せてもらっている（すみません）

祖母は、認知症の特徴のひとつであるらしい怒りっぽさや、暴言を吐くなどの症状はまったくなく、介護している人間に申し訳ないと詫びたり、ありがとうございますと感謝を伝えてくれる人だけれど、認知症になる前から片付けが苦手で、なんでも手元に置きたがる癖があるようで、捨てられないようだった。
認知症発症以降は、そこに帰宅願望や徘徊、人のカバンを自分のものと主張して頑張るというおまけがつくようになり、徘徊先のものを持ち帰ってきたり、そこそこにい重い消火器を膝に置いたまま車いすで外に出てみたり、弄便ではなかったけれど、落としてしまった自分の便を手で持ってしまったこともあった。

祖母は料理上手で、私も小さいころに、会いに行けばおいしいごはんをたくさん食べさせてもらった記憶がある。
しかし、18歳で商家である祖父のもとに嫁ぎ、厳しく子を育て、自分の息子が拾ってきた猫を遠くに捨てに行き、猫が戻ってくると、戻らぬようにもっともっと遠くに捨てに行ったことがあったと叔父に聞いてから、祖母のことを、心のどこかで、いやだなと思っていた。祖母の介護は、否定的な感情がたくさんたくさん出るものだった。

先日、少しずつ慣れてきた保護猫を、ケージから出し、祖母の介護をしながら好きなように歩き回らせていると（すみません）、祖母は猫を見つけて、「かわいいね」と言って笑った。

私は猫のことを家族でありヒーラーであり、セラピストでありカウンセラーであり、生きるためのモチベーションを上げてくれる万能な奇跡のような生き物と常々思っているけれど、祖母にも何かしらの力を発揮したのだろうか。よくわからない解釈をしながら、祖母に、「だよね」と返した。
なんというか、とにかく、うれしい時間だった。

家族皆仕事もあり、最近は、同居ではない祖母にずっとついて介護をすることが難しい時もあり、デイサービスや訪問介護以外に、ショートステイを利用することも増えた。
ケアマネージャーさんと、介護士さん、看護士さん、家族もたくさんお世話になり、介護は一人では無理と改めて感じる。

介護する・される生活が続いて、苦しくなったのか、事情は定かではないけれど、介護に関する事件を見るたびに、他人事ではないなと思う。本当は、自分の精神衛生を保つために、自分の都合で保護猫を祖母の近くに置いてしまったんだ。
だから介護しながら、されながら、様々苦しい気持ちを抱えている方々が、私にとっての猫のように、気持ちが軽くなる、癒される何かがいれば、あればいいなと思ってしまうんだ。