事の始まりは、そのコが痩せっぽちやったからでした。
山際で、広いお墓場が直ぐ側にあるという立地的なものが多分に関係してると思うのですが、
我が家から東側(お墓も東側にあります)、山に向けての方面にそこそこの数の野良さんが居るようです。
居るよう、といいますのは、うち辺りに来る野良さんはだいたいが決まったコたちで、
他の多くのコたちはもっと山側を塒にしているらしく、
うちの家族はほとんど そのコらをお見掛けすることがないからです。
我々がぼんやりと把握しているだけでも、
定期的にお墓にいらっしゃる方、
家の裏手が人目に着かない空き地になっている方、
大きな門扉の内側に広大なお庭をお持ちの方などにご飯を貰っているらしく、
野良さんといえど、みんなそこそこ、ふっくりとした出立ちです。
にゃんこは大好きですが、我が家の家庭環境ではゴン太いちにゃんを外に出さないよう生活するのが精一杯。
色んなお考えの方がいらっしゃると思いますが、私は オシッコ、うんちのお世話まで出来ないのなら、手出しはしないでおこうという心積りで、野良さんに ご飯をあげることはありませんでした。
うちの庭や縁側を通り道とし、また、ぬくぬくと日向ぼっこしたり遊んだりしているコたちに家族間で渾名を付けて、
かわゆいな~(о´∀`о)と都合良く、見てるだけ~♪を決め込んでおりました。ずっこい立ち位置です。
野良さん用に常に水だけは用意してあり、
朝夕、新聞を取り入れる際に庭の隅に置いてあるステンレスの小皿ふたつの中身を据え付けの水道で入れ替えるのですが、その時や、
昼に郵便受けを覗きに出た時に、
10月半ばくらいから ちょこちょこ見掛ける、新顔がありました。
茶トラのそのコは、顔も体も小さく、普段ここら辺りに居る野良さんたちとは違い、
存外に痩せておりました。
いつ見てもいつ見ても 痩せているもので、終に…
終に、空きプラトレイにゴン太の療法食じゃない方のご飯を入れて、差し出してしまいました。
傍観者からの逸脱です。
しゃがんで、木陰に居るコから少し離れた位置にトレイを置くと「…いいの?いいの?」と様子を伺いながら恐る恐る、ちょっとだけ口を付けてからまた、一歩分下がって こちらの出方を伺っています。
頷いて
「いいよいいよ、全部食べてしまい~」
ゆっくり瞬きしながら静かに言い置いて家に入り、しばらくしてから出てゆくと、
トレイはきれいに 空になっておりました。
それを2回3回と繰り返したある日、
玄関ドアを開け放った瞬間、直ぐそこで待っていたらしい茶トラちゃんは、
「ミャア!ミャア!」と小さな声を発しながら、
欽ちゃんもかくやの軽快な横っ飛びで びょんびょん跳ねながら出迎えてくれました。
もう、かわいくてなりません。
私は浮かれて、暫定名・トラ次用のご飯と使い捨ての紙皿を買い込みました。
直きに私が側に居ても食べてくれるようになり、ご飯を出す前に水を取り替えたりしている間、
「…怒られへんかなあ?大丈夫かなあ?」と考え考えの様に、遠慮がちに すりりん とすり寄ってくれるようになりました。
目の前で食べてる、その骨ばって華奢な首筋から背中を初めてそおっと撫でたら、一瞬、びくっと体を強張らせたものの、撫で撫でしていてもそのまま、ご飯を食べ続けてくれました。
調子に乗って、気になるお尻周りを確認すべく、後ろを覗き込もうと体をじり…と傾けたら、食べるのをピタッと止めて飛びずさり、ミャア!と一声。
「そこはデリケートゾーンにゃ!」
鼻にシワを寄せて 怒られてしまいました。
私が不在の時にも不都合が無いよう、母だぬきとの顔合わせも致しました。
タイミングを見計らって二人で連れもって外に出て、母だぬきが居るからちょっと遠巻きにしてるトラ次の前で、母だぬきがゆっくりゆったり声を掛けつつ、ご飯をセット。
「トラ次~ トラちゃ~ん 待っててなぁ~(о´∀`о)」
「なんか、お口悪いんかさぁ~ 食べにくそうにしてる時あって。
あががっあががっ て 時々 しやるねん」
「あんたコレ、大きい煮干し、千切ってやらなあかんわ。ブチブチ
なぁ トラちゃ~ん (о´∀`о) 」
(((ФωФ))) モグモグ
「Σ(゚ ロ゚;) 私アホやな!」
痩せていた原因の一端でしょうか。
トラ次は食べるのがあまり 上手ではありません。
てしてしこそげるように食べるうち、紙皿がどんどん向こうへ移動してしまいます。
それを動かぬよう、端に手を添えながら食べ終えるのを待ち、そのまま皿を片付けるのが常でした。
そうこうしているうちに、トラ次は朝夕、決まった時間にドアの外で、我々が出て行くのを待ってるようになりました。
うちは宅配業者の方が一旦、荷物をおろせるよう、ドアの直ぐ脇に 座面に厚手の古着を巻いたガタガタの丸椅子を置いてあるのですが、そこでアンモナイトみたく丸まって、寝ながら待っているのです。
廊下から玄関に向けて歩いてゆくと、玄関脇の明かり取りのガラス越し、ふんわり、ベージュ色の毛玉が透けて見えます。
大抵、ドアノブを回す音で、椅子から弾んで飛び起きますが、たまにすっかり寝入っていて、ドアを開けて顔を覗き込んだら「…あれ?」みたいに寝ぼけ眼で瞬くこともありました。
他所のお宅からしてみれば、もう、完全に外飼いしてる、うちのコです。
ならば、考えなくてはならない事が。
最近では尾っぽをしっかり立てて すりすりしてくれるようになりました。
チャンス!とばかり、ご飯の用意をしつつ、その付け根辺りを凝視しましたところ、体格からして男子やったらソコソコの大きさに育ち主張してる筈だろうブツがどうも、見当たりません。
…あかん。早よう手を打たんといかん。
こちらの日記で、捕獲から避妊手術までスムーズに処置して下さったと拝読していた、"のらねこさんの手術室"さんに電話で問い合わせてみました。
電話に出られた方は私のたどたどしい話を辛抱強く聞いて相談に乗って下さいました。
ご飯を食べに来る時間帯によって、スケジュールも混み様が違うとの事で、
ちょうど忙しい時期でもあり、トラ次のご飯タイムに合わせるとなると、
今からの申し込みだと11月の末頃のお手配になるとのお話でした。
お電話したのは10月下旬で、11月末まで丸1ヶ月…
しかと確認したワケやないけども、トラ次はおんにゃのコかもしれへん。そんな気がする。
順番を待ってる間にトラ次母さんになってしもてる可能性があまりにも高く、一旦、お話を終えました。
次にネットで調べてチェックしていた、今年の夏、八尾市に開院された避妊去勢専門のクリニック"ハッピータビークリニック"さんに問い合わせました。
たどたどしい話をおぶおぶと繰り返す私。こちらでも親身になって話を聞いて下さいました。皆さん、良い方過ぎる…
捕獲器の貸し出し(なんと、2週間!)もして下さるので、決行しようと思ってる日に早めに手術の予約をしておき、当日、捕まえられなかったらキャンセルして、また、チャレンジすれば…との事。
なんでもゴン太並にドン臭い私が一人で捕獲器を巧く扱えるかがまず不安ですが、それでも2週間もあればなんとかなるかもしれんという気になってきました。
でも、トラ次を首尾良く保護出来たとしても、捕獲器を運搬したりどーしたりするのには私の力量的に協力者が必要です。
そこで、母だぬきに事の仔細を説明したのですが、それはもう、猛烈な反対に合いました。
「捕獲器借りてまでなんて大袈裟な…
せっかく機嫌よう食べに来てやんのに、そんな事しやなあかんの!?
ご飯あげてるだけでいいやんか。
無理矢理捕まえられて、そんっなイヤな怖い思いしたら、もう来ーへんようになりやるんちゃうの!?
だいたい捕まえよう思て あんたがまたケガでもしたらどーすんの!?」
…うん。気持ちはわかるんやけど。
私かてトラ次がもう来てくれへんようになったら…て思うと辛いし怖い。
でも、かわいいかわいいゆーて構てるだけやったら、あかんねん。
ケガ云々、は母だぬきが言うのも道理。体質があかんたれすけな私は去年、子にゃんこの保護騒動のひと幕から半年余り、猫ひっかき病で長らく体調不良やったのです。
やからこそ、捕獲器をお借りして万全の体制で保護にのぞもうと思てたんですが。
「…わかった、ほんならもう、捕獲器は借りへん」
わし一人でなんとかする。
悶々と考えた末、必要と思われる物を頭にピックアップし、コーナンに行ったり、ネットで取り寄せたり、粛々と用意を整えました。
一回失敗したら多分、次は難しい。
思った通りに出来るやろうか。
トラ次に嫌われへんやろうか。
~嫌われたくない!絶対 嫌われる!!
でもでも!やらんといかん!
一通り準備して、いざ、明日決行という前の晩は、全然、眠れませんでした。
そして当日。
朝 7時頃、保護に成功。
トラ次はフーシャー!!多分、力の限り、暴れました。
「ごめんな、トラ次、ごめんなっ」
もう、泣きそうです。
我が家の殺気立った雰囲気とトラ次の気配を感じたゴン太も落ち着かず、フンフンフンフン立ち上がったりしゃがんだりとうろちょろしているので部屋の中には置いておけず、トラ次に入ってもらってるハードキャリーは全体的に布を被せ、縁先に据え置きました。
今日、入院で明日手術していただき、明後日の退院という運びになるのか、どうなのか…その辺りはハッピータビークリニックさんに伺ってみないとわかりません。
とにかく、朝一番にお電話です。
開院待ちの間にトラ次の様子はどうかな?と縁側を伺いますと、
「Σ( ; ゜Д゜)!?」
いつから居たのか、うちによく姿を現すサビの 二代目 まだらちゃん と、見たことない 子にゃんこ→成猫になり掛けの茶トラの中ネコちゃんが、ハードキャリーの側まで寄って、今は静かになっているトラ次を心配そうに見守っていたのです。
我が家の縁側はにゃんこたちの通り道になりこそすれ、長居するコはそうそう おりません。
にゃんこ独自のネットワークなのでしょうか?
「助けてーっ」て、私らに聞こえへん声でも発するのでしょうか?
母だぬきも呼んで、しばらくしげしげ眺めていても、2にゃんはそこから動きませんでした。
朝9時の開院時間ぴったりにハッピータビークリニックさんにお電話したところ、なんと、当日の手術予定に組み込んでいただけるかもしれないとの御返事をいただけました。
念の為、ゴン太にはゲージの中に入っていてもらい、身支度を整えてハードキャリーを持ち出すべく縁側に出てゆくと、流石に まだらちゃんも中ネコちゃんも慌てて姿をくらませました。
縁側で待機してる間も、電車に乗って東大阪から八尾へ移動してる間も、ニャアとも鳴かず、トラ次は至極、静かにしておりました。
住宅街にあるハッピータビークリニックさんは、一見ではそれとはわからないような外観でした。
お洒落な個人のお宅 といった風で、綺麗で爽やか、そして優しげ。"避妊去勢専門"という、なんだか恐ろしげな肩書き(すみません!)の印象は微塵も無く、アワアワしていた気持ちも少し、なだらかになりました。
必要書類に明記して、トラ次はその日の手術に入れていただける事になりました。
まだ男子か女子かもわからないトラ次ですが、もし、女子で避妊の手術をしたとしても、術後の引き渡しも当日の夕方に可能、そのまま放しても構わないと伺い、
「え。ほんまにそんなんで大丈夫なんですか?
え。ほんまにそんなんで大丈夫なんですか?」
ホームページを事前に拝読していて一応、頭では理解していたのですが、昔々、もう20年以上も前、わんこの避妊手術後の回復がなまなかではなかった覚えがある私は、アホみたいに何回も同じことを聞きいてしまいました。
技術の進歩は凄いですね ( >_< )
あれから ご飯の時、煮干しを小さくしてもやっぱり、トラ次はご飯中に何度もあがあがしておりました。
その旨をお伝えして、歯の状態も見ていただけるよう、お願いしました。
キャリーを丸っと大きな風呂敷で包んでいるので、ずっと沈黙を貫いている、中のトラ次の様子はよく窺えません。
「トラ次~ 頑張るんやで~」
先生方によくよくお願いし、後ろ髪引かれながら病院を後にしました。
帰宅すると、母だぬきが待ちかねておりました。
「トラちゃん、どおやって?無事にちゃんとお願い出来た?」
「うん。ずっとお利口さんやったよ。今日の夕方には帰れるって。んで、帰ったら直ぐに放しても大丈夫やって。迎えに行っていい時間がわかったら、電話くれるってさ」
「今日!?ほんまに!?そんなんで大丈夫かいな。う~~…
そうか~ トラ次~ 頑張りや~(>_<) もう一回 拝んどこ」
チーン!と 仏壇に長らく手を合わせてから、目を真ん丸に振り返ります。
「さっき、まだらちゃんとトラのちょっと小ちゃいコが来てたやん?あのコらまた、トラ次のキャリー置いてたとこらに来てて。
それがあの、お腹が真っ白できれいな茶色のコも来ててん。トラ次のこと、心配してるんやろうなあ~」
体格の大きな茶白のコはつい最近、たまに庭で見掛けるようになったコで、首輪こそしていませんが、そのふくふく加減とあまりの艶ピカさに、我が家の茶の間では どっかのお宅の坊っちゃん疑惑が持ち上がっています。
そのコも これまで庭以外では一回もお見掛けした事はなかったので、またもや不思議です。
…これ、"にゃんこの味方に見せ掛けて、実はエラい目に合わされる恐ろしい家"やって 情報回ってるんちゃうん、絶対… ( - ω -;)
違うねんっ (TДT)!!
にゃんこらに思いっきり申し開きがしたくてなりませんが、
違うことないねんっ (TДT)!!
実際、トラ次は自分の思惑外のエラい目に合っているのです。
昼ご飯を食べながら、なんだか胸狂おしく「あ"~~~~ッッ!!」と叫んで、テーブルに頭を打ち付けたい気分でした。
家の事を一頻りして、いつもの様に私の方にお尻を向けて膝に乗っかるゴン太と一緒につい うとうとしていると、電話が鳴りました。
他の歯はきれいなのに、1本だけが歯周病で根っこからグラグラしているので、それを抜いたらお口が痛いのはだいぶマシになるのではなかろうかというお話と共に、その抜歯に伴う費用について御説明いただきました。
いちもにもなく処置をお願いして、お迎え可能な時間を伺うと、もう直ぐ出掛けた方が良い頃合いでした。
バタバタ飛び出したもので、自宅最寄り駅前で手土産を用意するのをすっかり忘れ、近鉄八尾駅で途中下車する羽目になり、てくてく移動の私がクリニックに着く頃にはとっぷり日も暮れておりました。
ひっそりとした住宅街の奥まった一角から、やわらかく明るい灯りが漏れていました。
私より一足先ににゃんこのお迎えに来られた方の車を路上で見送り、スタッフさんたちだけのクリニックにお邪魔すると、足元のキャリーから ニャア~ と か細い声が上がりました。
トラ次の声です。
畳んで置いて下さっている風呂敷をキャリーからそっと退けると、ケースの中でちっこりとしており、麻酔からは完全に覚めているようで、真っ直ぐな目を私に向けておりました。
「えらかったな、トラ次」
トラ次はやっぱり、おんにゃのコでした。
左の耳に、さくらの花びらのカットが入っています。
現在の体重 2.85kg。
おそらく、2才~4才くらいで、前のシーズンに出産、子育てを終え、住み替えでうちの庭に来たのではとの先生のお見立てでした。
小柄であどけない容姿と裏腹に、トラ次は意外にもゴン太よりお姉さんなのかもしれません。
いや、ゴン太はいつまでたっても多分、大抵のにゃんさんより幼い ぼくちゃんですが( ^∀^;)
今回、お願いしたのは、
・避妊手術(耳カット、化膿止めの注射)
・FeLV/FIV(猫白血病ウィルス感染症/猫免疫不全ウィルス感染症)検査
・猫3種ワクチン
・レボリューション
・抜歯(1本)
※本来、避妊去勢手術費用にマイフリーガード(ノミ駆除)が無料で付いています。
トラ次にはレボリューションをしていただきましたので、マイフリーガードは無しでした。
以上と初診料を合わせて、税込/17,280円でした。
ちなみに、抜歯費用は、税込/1,080円でした。
私は自己満足で色々お願いしたのでこの額面でしたが、避妊去勢だけをお願いするのであれば、
かなり低めの診療費用設定ではないでしょうか。
先生に御了承いただいておりますので、サイトアドレスを添えさせていただきます。
ハッピータビークリニックさん(大阪府八尾市)
http://happy-tabby.pepper.jp
帰る道中、トラ次はまたも、だんまりでした。帰宅ラッシュの満員電車で押されキャリーが傾くも、中で身動ぎする様子もなく、しん と大人しいものです。
それが、私が我が家の門のかんぬきに手を掛けますと、がさごそとキャリーが揺れて、ニャア~~! ニャア~~!と いつもより少し大きく長く、ふた声鳴きました。
「よ~し トラ次! 帰って来たで~」
ドアの外へキャリーを置いたまま 一旦、家へ入り、わきわきしているゴン太には申し訳ないですがまたもゲージに入ってもらいました。
玄関の沓抜にキャリーを入れて、母だぬきと共にトラ次の無事な姿をしみじみ確認しました。数日前から気になっていた目やにも綺麗に拭いていただき、とても涼やかな顔でした。
「しばらく様子見た方が良いんちゃうの?」
母だぬきは直ぐに放すのには反対しておりましたが、かといって、キャリーの中におったままでは、どのみちトラ次は落ち着かんやろうという、私の思いがありました。
その思いのまま、外灯の灯りでぼんやりとした庭の片隅、いつもご飯を食べている所でキャリーの扉を開け放つと、トラ次は シュッ と白い1本の線の様に暗闇に消えてゆきました。
念の為にと用意していた革の手袋は、結局、一度も使うことはありませんでした。
次の日、トラ次は朝も夕も 庭に現れませんでした。
そして、トラ次の手術した日を境に、我が家の庭にはにゃんこ一匹、姿を見せなくなりました。
我々の都合で手術をして、警戒し、ご飯を食べに来なくなる、満足なご飯の量を食べれず餓えてしまう、術後に体の具合が悪くなる…諸々の不安を念頭におきながらの手術でした。
前の様になついてくれなくなっても仕方ない、ただ、元気で、ちゃんとご飯を食べてくれているなら、それで良いのです。
遠目からでも良い。
ともかく、変わり無く過ごせてるトラ次の姿が見れれば、私たちは安心出来るのです。
折しも、私と同じ様な思いから野良さんの手術に踏み切った方の御経験が ハッピータビークリニックさんのブログに掲載されていました。
その方の、術後に放されたにゃんさんは、ブログ掲載のその時点では、一週間経っても戻って来ていないそうでした。
TNRされた方々の御経験を その他、ネットで幾つか拾い読みしましたが、直ぐ戻って来たコも居れば、しばらく間を置いて戻って来たコ、二度と姿を見せなくなったコ、様々でした。
いつものご飯タイムに限らず 家を出入りし、広くもない庭をその度 見回り待ちましたが、2日目も、3日目、4日目も、トラ次は庭に来ませんでした。
ひと目、トラ次の姿を確認したいと、母だぬきは 日に数度、にゃんこが集いそうな場所を尋ね歩いておりましたが、居るのは貫禄ある渋みのきいた古参のにゃんさんばかりで、毎回 肩を落として帰って来るばかりでした。
そして、5日目。
昼ご飯もそこそこに、またふらふら出て行っていてた母だぬきが、首を捻りながら、でもちょっと、浮わついた様子で家に入って来ました。
「Mさんと藪の間のだいぶ向こうに茶色のコが居てんの、あれ、トラ次かな~?違うかな~?
カレーちゃん(赤の強い大きな茶トラの男子)とは違うと思うし、トラ次の様な気もするけど、顔付きがなんや、険しいねん。
トラ次のあの、かわいい顔やないねん。」
耳のカットは遠目からはわかり辛い筈なので、
「しっぽ!しっぽ どうやった?トラ次、しっぽ短めで先がほんまに豆くそだけ、ふたつに分かれたみたいになってるねん!(;・`д・´) =3」
色めき立って、手近にあったDMハガキの裏にフェルトペンで ネズミの鍋つかみみたいなヘボ絵を描いて見せると、
「なにこれ。そんなん、わかるかいな(´・д・`) 遠いし」
くっそう!( ; ´д ` )ノ~
ハガキを放り出し、外出用メガネを掛け終えるのももどかしく、外に急ぎ出ました。
母だぬきと先を争う早歩きで原着しますと、高台を挟んで我が家の目の先にある、Mさん宅と 空き家が竹の小藪に成り果てているそのお隣さんの間、かなり向こうですが、確かに ぷつりと佇む茶色い姿がありました。
こちらにお尻を向けて振り向いているのでわかります。個性的な尾っぽの先に、心持ち欠けて見える左の耳先。
機嫌が良くは無さそうですが、取り敢えず体は元気そうです!
「トラ次~っ!トラ次よ~!.+:。 ( ;∀;) 。:+.」
ブロック塀越しに呼び掛けても、トラ次は眉間に力の入った仏頂面を崩しませんでした。
それはそうです。信用してたのに、騙されて捕まえられて、エラい目に合ったのは、トラ次的には ついこの前です。
「ご飯!ご飯や!」
トラ次がまた 姿を眩まさぬよう、母だぬきに見張りに立っていてもらいつつ、いつものご飯を取りに戻りました。
わたち、すんごい 怒ってるんやからねっ!! ( `へ´メ)
ご飯を振って見せても心同様 距離を取り、憤りを全面に押し出していたトラ次でしたが、親子で やいやかした結果、どうにか庭に招き入れるのに成功し、近寄れはしないものの、ご飯を提供する事が出来ました。
これで我々、ようやく ひと心地つけました。
自分ちで庇護しきれないのに 避妊去勢手術をするに伴う 気持ちの葛藤。
放した後の 無事を確認するまでのどうしようもない 生きた心地のし無さ。
まず、今回のこの一連のゴタゴタを、 TNR と安易に表してしまって良いものやらでモヤつきますが、
それにつけても、ずっと抱え通しの気持ちのこの重苦しさ。
これは、私にはもう2度と 無理だなぁ~ と思いました。
昼にご飯を食べた その日の夕方。
これまで通りのいつもの時間に、トラ次はやって来てくれました。
しかし、決して近付いては来ず、めちゃ遠巻きで、ご飯の支度をする私を茂みの中から睨め付け、やたらと強い「置いてけ~~!」の念を発して参りますので、紙皿を置いて家の中に入りました。
時間を置いて出てゆくと、ほぼ空になった皿がポツン とありました。
それからまた新たに、徐々に徐々にと距離を詰めて行き、手術から10日余り経った今日では、撫で撫でしながら ご飯を食べてくれるようにまでなりました (о´∀`о)
トラ次を病院に連れて行こう、行かねば!と思い詰めてからのやっさいもっさいで、ゴン太にもたくさん、不便を強いてしまいました。
ゴン太ファーストは勿論のこと。
何をするにつけても、その時その時のゴン太の様子を伺いながらではありましたが、多少の事があっても食に対する欲望が落ちないゴン太さんには助けてもらいました。
ありがとうな、ゴンスケ。
母だぬきの抱っこに御満悦
このところの冷え込みで、夜、ゴン太が布団に潜って来てくれるようになりました。
始めは私のお腹の辺りで丸まっているのですが、夜半にふと目を覚ますと、目と鼻の先、私の枕と並ぶように頭を伸べて ぷーぷー 鼻息を立てています。
その白いアゴ裏と布団からバンザイに突き出た両手を眺めながら、ゴン太とこうしていられる幸せを噛み締めます。
他のにゃんこから逃げ回ってる すんごいビビりのトラ次にも、こうやって、のほほん と 脱力しまくって太平楽に過ごせる おうちがあれば良いのに。
出来れば、
寒さがもっと厳しくなる前に、うちで家猫修行して、里親さんを探せればと思っています。
大人にゃんこなので、とてもとても、難しいとは思うのですが…
だいぶ、ふっくら して来ました!(o^―^o)
手術のせいも あるかな?
手術してもらった段階では、猫白血病、猫エイズとも陰性。
ウンチにむいむいも居ないようでした。
家猫修行、里親さん探し…初めてのことばかりで、
また、皆さまに御助言をお願いすることもあると思います。
その時は、どうぞ、よろしくお願い致します!!
最後までお読み下さり、ありがとうございました!!\(^o^)/
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