鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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63日目「時給2000円のお手伝い。」
2026年2月14日(土) 204 / 0

叔母が溺愛する飼い猫の世話をした。
去年の11月に叔母が一人息子の従弟に会うためにタイに行った時以来なので、三か月ぶりの再会である。

まだ真っ暗な朝の5時。
セットしていたアラームが鳴る前に目が覚めたので、予定より少し早いが家を出る。

叔母が住んでいる家は、私と母が暮らす家から徒歩5分とかからない。
簡単に説明すると、1丁目から3丁目くらいの距離だ。

…ちなみに、件の動物病院は9丁目くらいの位置にある。

「婆ちゃん、おはよう。」

6年前に亡くなった祖母の仏壇に挨拶をしてから、二階に向かう。
私が叔母に要求したメモは台所に置かれている事が多いので、まずはソレを確認しなくてはならないからだ。

「朝ご飯。古いカリカリは捨てて、新しいのを入れる。オヤツはなし。」

お腹が弱い叔母の飼い猫は、療養食を食べている。
キャットフードが入った袋を掴み上げるも、ご飯置き場が見当たらない。

「水。2か所、替える。」

仕方がないので、先に水を替える事にする。
水は二階と三階に設置されていた筈だが、コチラも見当たらない。

「トイレ。2か所。ウンチ入りはベランダへ、オシッコだけはキッチンのゴミ箱へ。」

どうやら、二階はタイから帰国した従弟が占領しているようだ。
いつもはお迎えに下りてくる叔母の飼い猫が顔を見せないのも、三階で生活が完結しているという事なのだろう。

「おーい、来たよー。」

名前を呼びながら階段を上がると、扉の影から叔母の飼い猫と目が合った。
いつもと違う様子にも違和感があるが、その変わり果てた姿に眉を顰める。

「…なんか、痩せたね。」

縄張りが半分に減り、さらに苦手な人間の気配を四六時中感じている叔母の飼い猫はやつれていた。
叔母は「数百グラムも増えたから先生にダイエットを勧められてたんだけど、こんなに痩せたのよ!」と自慢していたが、コレはオヤツを減らしたからという訳ではない気がする。

毛艶が悪く、動きもキレがないのだ。
去年、旅立った愛猫よりも年下の猫にしてはヨレヨレな見た目になっている。

「大丈夫かい?」

あまりの変貌に叔母の飼い猫に手を伸ばすも、何故かビクついている。
いつもならお腹を見せてゴロゴロと転がってくれるに、チラチラと階段の下に目を向けては部屋の隅に隠れるような素振りを見せた。

「…コレは、良くないね。」

叔母は飼い猫を溺愛しているが、それまでは従弟を溺愛していたのだ。
三階に猫のトイレを設置し、二階に自分の寝床を作っていた叔母がトイレの真横に枕を置いている現状を鑑みると叔母の飼い猫の気苦労は計り知れない。

「私からも注意しとくから、ちゃんとご飯は食べなよ?」

叔母の指示通りにトイレを掃除をしながら、叔母の飼い猫に話しかける。
紙の砂なのにわざわざ糞尿を分ける理由もよく分からないが、ウンチをベランダに出すくせにオシッコを台所に置く意味も分かっていない。

「じゃあ、そろそろ帰るかな。」

数十分、猫じゃらしを振ってから帰る準備を始める。
あまりヤル気のないお愛想のような動きで遊んでくれた叔母の飼い猫を撫でてから、祖母の仏壇の前に座り込む。

「婆ちゃん、猫とアロマティカスの事は頼んだよ。」

想像以上に薄くなった叔母の飼い猫と、想像よりは元気そうなアロマティカスに思いを馳せながら帰路に就く。
ポチ袋に入っていた二枚の千円札は母と行く姫路城見学に使う事に決め、明るくなった街を歩いた。
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