鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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86日目「パッパがいるから怖くないもん!」
2026年3月9日(月) 138 / 0

買い物帰りの母が荷物の整理をしていた。
嗅ぎ慣れない外の匂いに反応した4匹が、母の周り築き上げられたビニール袋の山に興味を示してツンツンと突いている。

「1号、ペロペロしちゃ駄目!2号、パピーの真似をしないの!3号、噛んじゃ駄目よ!4号、食べ物は踏まない!」

イタズラ盛りの4匹に囲まれた母は、忙しそうに食料品の仕分けを行っている。
私も常温保存が出来るお菓子などをコタツの上に広げ、各自の分をお互いの棚に仕舞い込んだ。

「全く、こういう時にしか寄ってこないんだから!」

「でも、嬉しいんでしょう?」

ニコニコと笑う母だが、その隙を突いて扉から逃走を図った3号の姿を見ると眉を上げた。
家から出る事は出来ないので迷子になる事もないが、癖が付くと良くないからだ。

「コラ、3号!」

自他共に認める大きな声の母が叫ぶが、3号は段ボールの影に身を潜めて出てこない。
大きくなった事で自信が付いてきたのは良い事だが、言う事を聞かないのは困りものだ。

「自分で出て来ないなら、もう知りません!」

そう言って、母は扉を閉めた。
余裕があるとはいえ、3号の本質がビビリである事に変わりはないからだ。

「どうせ、すぐに鳴いて助けを求めるに決まってるもの。」

「…それは、どうかな?」

同意があると思い込んでいた母は、不思議そうに首を傾げた。
母は気付いていないようだが、私は3号が一欠片の不安もなく探検を満喫している事が手に取るように分かるのだ。

「この飴ちゃんを賭けても良いよ。」

「お母さん、イチゴ味は好きじゃないのよ。」

棒付きキャンディーを振ると、ミント味のタブレットを振り替えされた。
私は子供舌なので、未だにハッカ系の物が苦手である。

「…まぁ、早めに出さないと大変な事にはなるかもね。」

そう言った瞬間、ドシンッと何かが落下する音が聞こえた。
慌てて扉を開けた母の足の間を駆け抜けた猫は、サッサとビニール袋の点検に戻ったようだ。

「アレ?3号?」

逃げ遅れた3号がピョンピョンと跳ねながら私の毛布に飛び込んできた。
その顔には多少の罰の悪さは滲ませてはいるものの、独りぼっちにされた恐怖は浮かんでいない。

「…今、もう一匹いた?」

「うん、1号がいたよ。」

母は猫を挟まないように、ゆっくりと扉を閉めていた。
3号に見せつけるように手を振る母の足元を縞々の短い尻尾が通り過ぎるのを私は見ていたのだ。

「頼りになるパピーが一緒にいたから3号は何にも怖なくなかったし、鳴いて助けを呼ぶ事もなかったんだよ。」

何かあれば1号の傍に駆けていく3号にとって、何事にも動じない1号ほど頼りになる存在はいないのだろう。
元飼い主の女性から「同じキャリーバッグには入れない方が良い。」と言われるほど怖がっていた存在を信頼する子猫の姿に、母は感心したように深く頷いていた。

「感動のあまり、感動です。」

「…ん?」

無意識に呟いてしまったと思われる言葉に、思わず問い返す。
それだけ感動的な場面という事なのだろうが、どうにも締まらない感想だ。

「獲ったどー!」

「ズルい、一匹占めは許さないわよ!」

キャットフードの袋を咥えた4号の周りで、2号も何かないかとクンクンと匂い嗅ぎ回っていた。
この2匹も1か月の間でだいぶ慣れてきたので、早く1号と4号も仲良くなってほしいものである。
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