鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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92日目「新しいオモチャか、新入りなのか。」
2026年3月15日(日) 167 / 0

母の趣味は編み物である。
毎年、寒くなると帽子やマフラーを自作する為に手芸店で毛糸を見繕ってくる程度には好きな事のようだ。

「こんなに高い糸にも結び目があるのね…。」

毛糸玉を解き、絡み合った糸を伸ばしながら母がポツリと呟く。
闘病中の母は薬の副作用で指先に痺れの症状が現れているので、ダマを取り除く事さえ苦労するそうだ。

「…あら?」

珍しく自分から母に近付いた2号が、キラキラした瞳で毛糸の先を見ている。
4号の持参品の白色のポフポフが付いたオモチャが好きな2号にとって、同色のフワフワした毛糸は魅力的な物なのだろう。

「余ったら、あげるわね。」

ちょいちょいと前足で戯れ付いてくる2号を退けながら、母は作業に戻った。
少しでも目を離してしまうと、網目が分からなくなってしまうそうだ。

「…あら?」

珍しく自分から母に近付いた3号が、怯えた様子で毛糸の先を見ている。
自分と似たような色合いの塊を見て、また新入りが来たのかと警戒しているのだろう。

「うぉー!」

ちょいちょいと前足でパンチを繰り出す3号に毛糸の束を掲げてから、母は作業に戻った。
まだ子供の3号には生き物とソレ以外の物との差が曖昧なようで、突然浮かび上がった得体の知れない物体から逃げるように私の毛布に隠れている。

「…あら?」

珍しく自分から母に近付いた4号が、キラキラした瞳で毛糸の先を見ている。
持参品の白色のポフポフが付いたオモチャがお気に入りの4号にとって、同色のフワフワした毛糸は魅力的な物なのだろう。

「余ったらあげたかったけれど、コレは2号にあげる約束をしたから…。」

ちょいちょいと前足で戯れ付いてくる2号を退けながら、母は作業に戻った。
少し申し訳なさそうにしているが、先に見付けた2号に権利があるので諦めてもらうしかない。

「…あら?」

珍しく自分から母に近付いた1号が、興味深げに毛糸の先を見ている。
猫じゃらしの持ち手のようなシンプルな形状が好きな1号にとって、ちょこまかと揺れる毛糸は魅力的な物なのだろう。

「あっ、駄目よ!」

しっかりと毛糸を掴んだ1号を退けながら、母は作業に戻った。
他の3匹と違ってあまりヤル気のない雰囲気を醸し出してはいるが、なかなか毛糸を離そうとしない1号には狩人の貫禄がある(ようにも見えない事もないかもしれない)。

「アンタもする?」

「ううん、しない。」

毛糸を狙う4匹の気を逸らすようにオモチャを振り続ける役に任命された私に、母が毛糸を差し出す。
しかし、私は目を輝かせた猫達を押さえ付けながらその申し出を丁重に断った。

「楽しいのに…。」

「“お絵描き”も楽しいよ。」

物作りに対しての憧れはあるが、幼少期に親戚中から“不器用”だと笑われながら育ったので自分が手を出す事には消極的だ。
私が自発的に何かを制作するのは、猫達に必要な物を自作しなければならない時くらいなのだ。
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あめちゃ 2026/03/16

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