鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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137日目「叔母ちゃんに“オッサンになった”と笑われた子猫の気持ち。」
2026年4月29日(水) 96 / 0

1か月ぶりに叔母がやって来た。
相変わらず当日に連絡してくる癖が抜けていないようなので、今日も強めに文句を言った。

「コッチにも予定があるのに、何故頑なに連絡なしで来るのよ!」

「だって、今月のノルマがまだだったし…。」

懲りずに3号だけを構い倒す叔母は、どこ吹く風の状態だった。
別に私も3号(を含めた猫達)も叔母の訪問を待ち望んでいる訳ではないのだが、叔母は“感謝しなさい”と言わんばかりのドヤ顔を披露してくる。

「まぁ、良いか。はい、コレ返すね。」

叔母から借りていた文庫本を差し出す。
かなり前に読み終わっていたのだが、わざわざ叔母の家に行かなくても叔母が訪問する方が早そうだったので渡せていなかったのだ。

「コレさ、最初の方が面白かったよね?」

「うん。」

アッサリと肯定すると、叔母も頷きを返してきた。
私と叔母の好みはあまり合わないが、親戚だけあって疑問に思う部分は似通っている(らしい)。

「でも、今回のは総集編っぽくて読める方ではあったかな?」

「やっぱり、長くなるとネタ切れになるのかしら?キャラクターばかり増えて、軸がブレているのよね。」

ソレは猫好きには有名な小説のシリーズだそうだが、私は叔母に借りるまで存在すら知らなかった。
第一巻は普通に読める内容だったが、人気作として話題になった作品に多い突っ込みどころがドンドンと積み重なってきたというのが正直な感想だった。

「そんなに面白くないなら、もう買わなければ良いじゃない?」

「ソレはソレで負けた気になるのよ。」

叔母が言い訳がましく呟くと、母は呆れたような表情をする。
言いたい事は分かるが、私が宝物と認識している本を勝手に捨てた過去を持つ叔母が好みではなくなった小説のシリーズを買い集めているのはおかしかった。

「アンタの所の葉っぱ、元気がないんじゃない?」

「そんな事はない、ウチの子達はツヤが自慢なのよ。」

アロマティカスをチラリと見た叔母の言葉を否定する。
確かに成長は感じられないが、枯れていないから元気な筈だ。

「ウチのはもっと肉厚だけど、黒色の点々があるのよね…。」

「叔母ちゃんのは多肉植物系で、ウチのはハーブ系なんだよ。」

事実は分からないが、とりあえず言ってみた。
妙な説得力があったのか、母と叔母は納得をしたように頷いた。

「そういえば、アンタはえらく老けたわね。」

抗議するように鳴いていた3号を抱き直し、叔母が言った。
すかさず声音を変えて、3号の代わりに講義をする。

「ピチピチの子猫だぞ!可愛いでしょ!」

「うん、猫だから可愛いよ。でも、もうそんなに可愛い声じゃないでしょう?」

「まだ半年だぞ!まだまだ子供だぞ!」

「えー、もう声変わりしてる歳でしょう?」

「まだ小学生くらいだもん!」

「嘘ー、もう18歳くらいじゃないの?」

笑いながら3号を見つめ、右に左に顔を動かしている。
その間も、3号は“んにゃー!”と抗議の声を上げていた。

「だって、写真を撮るとオッサンにしか見えないもの。」

「モデルが良いんだから、叔母ちゃんの腕が悪いだけだ!」

眉根を寄せて不機嫌を隠さない3号を捕まえたまま、叔母はチョコパイを囓っている。
いつもは一個しか食べないのだが、今日は“最近、チョコレートに飢えているの”と言いながら二個目に手を伸ばしていた。

「コレ以上大きくなったら、来月は会いに来てあげないわよ?」

「3号、早く大きくなれって皆が言っているぞ。」

棚の上の1号とスチールラックの下の2号とサークルの中の4号の本音を代弁する。
大爆笑した叔母が従弟の晩御飯の準備をする為に帰宅したのは、ソレから三時間後の事だった。
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