鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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136日目「見た事はないけど、知識はある。」
2026年4月28日(火) 86 / 0

早朝、ポトリと顔の上に何かが落ちてきた。
嫌々ながらも目を開けると、3号の背中が視界いっぱいに広がっていた。

「…今日も早いね、3号。」

ポリポリと指先で掻いてやると、私が起きた事に気が付いた3号が嬉しそうに私の頭に前足をかけて顔に乗っていた物を引きずり落とした。
ソレは1号によって木製の持ち手を失った、クシャクシャと音がする布のオモチャであった。

「はいはい、取ってこーい。」

寝転がったまま、ヤル気のない声を発してオモチャを背中側に放り投げる。
ビュンッとした風圧を感じるも、まだ睡魔が漂っている私の瞼は重かったので寝直す事にした。

「取ってきたよ!褒めて、褒めて!」

僅か十数秒で帰ってきた。
肩に乗る3号を見上げると、キラキラとした瞳でオモチャを咥えていた。

「…取ってこーい。」

何度か繰り返すも、経過した時間は一分と少し。
遊び盛りの3号を満足させるには、まだまだ足りないだろう。

「仕方がないなぁ…。」

起き上がり、駆けてきた3号の頭を撫でる。
切らずに付けたままの紐を振り回し、目を輝かせた3号に見えるように隣の部屋に向かって放り投げた。

「ひゃっはー!」

先ほどと違い、遠くまで飛んでいったオモチャに向かって転がるように飛びかかる3号。
トテトテとした足取りで棚から見下ろす1号の前で立ち止まり、さらにサークルの中で療養中の4号のところではオモチャを落としてから拾い上げるパフォーマンスまで披露していた。

「…元気やな。」

「ズルい、ズルい!僕も遊びたいのに!」

ぼんやりと見下ろす1号とガタガタとサークルを揺らす4号。
少し可哀想だが、安静にするつもりがなさそうなのでしばらくの間は我慢してもらうしかない。

「3号、取ってこい!」

パタパタと駆けていく短い尻尾はとても楽しそうに揺れており、久しぶりの取ってこい遊びを堪能している事を如実に伝えてくる。
最近は先にスタートを切っても、後から追い抜いていく4号ばかりがオモチャを咥えて持って行ってしまっていたからだろう。

「待っててね!今、弱らせるから!」

たまに立ち止まり、オモチャの喉元らしき部分を噛み締める事も忘れない。
鼻筋に寄った皺からは、オモチャを逃がしてばかりの不甲斐ない人間への気遣いが感じられる。

「…そういえば、2号は何処に行ったんだろう?」

いつもは私の隣を陣取っている2号の姿が見えない事に一抹の不安を覚え、ペタペタと移動する。
途中で合流した3号を抱き上げ、棚から飛び降りて付いてきた1号を従えて4号に挨拶をする。

「おはよう。皆、2号は一体…。」

キョロキョロと辺りを見回していた私の動きが止まる。
お目当ての2号が見付かったからなのだが、ソレは安堵からではなかった。

「…。」

2号は無言だった。
ペットボトルの炭酸飲料が詰め込まれた段ボールの上でチョコンと座っていた。

…段ボールの隙間の真上にある尻尾がピンと立ち、根元がピクピクと動いていた。

「2号さん?ソレは、まさか…。」

両手から力が抜け、ズルリと垂れ下がった3号をゆっくりと床に下ろす。
恐怖に慄く私を見上げ、状況を察した1号と3号と違い、位置的に2号が見えない4号は両前足を上げた状態でアピールを続けていた。

「ふぅ、スッキリした!」

ピョコッとした動きで立ち上がり、段ボールから降りる2号。
ほぼ全員の視線を釘付けにしていた事に気が付いたのか、しきりに耳を動かしている。

「…。」

ソッと手を入れ、ペットボトルを取り出していく。
上の方は数滴の雫が滴り落ちているだけだが、下に行くにつれてドンドンと被害の実態が明るみになってきた。

「…お母さん!」

私と同じく非常に寝起きの悪い母を叩き起こし、片付けの手伝いを頼む。
床を拭きながら空っぽになった段ボールをチラリと見るも、今の私の目にはポータブル型の汲み取り式トイレにしか見えなかった。
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あめちゃ 2026/04/29

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