鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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98日目「人間はコレくらい簡単な方が良い。」
2026年3月21日(土) 84 / 0

朝起きると、部屋中に白色の物が撒き散らされていた。
ソレは近寄った際に発生した風圧だけで転がっていくほど軽く、掃き集めるよりも拾い上げた方が早く見える程度には質量がある物だ。

「…綿?」

飼い主に似て、非常に寝起きの悪い3号が覚醒する前に掃除をしなくてはならない。
いつでもカリカリを食べられる状況にはしているが、復興組の4匹は拾い食いを止めないので気が抜けないのだ。

「一体、何を食い破ったんだ?」

母はまだぬいぐるみ作りに着手していない。
ちゃんと確認していないが、サークルに縛り付けている敷き布団を切って作った座布団は無傷に見える。

「…ん?」

寝る前に籠の中に仕舞っていたハズのオモチャが落ちている。
夜中に暇になった誰かが引っ張り出したのか、4号の持参品が散らばっていた。

「取れないし…。」

サークルの下に取り付けられたタイヤに巻き付くように、小魚のぬいぐるみを紐で括り付けたオモチャが引っ掛かっている。
4号の元飼い主の女性曰く、“一番のお気に入りだから、何度も修理した”という手作り感満載の代物だが、持ち主の4号よりもオモチャが大好きな3号の方が食い付きが良い。

「…ん?」

持ち手部分を掴み、持ち上げる。
違和感を覚えてマジマジと小魚を観察すると、紐に縫い付けられていた口元がパックリと開いて内部の綿を見せ付けていた。

「あらら…。」

おそらく、オモチャを散らかした犯猫は3号。
遊んでほしくなった3号が頑張ってオモチャを引っ張り出したところまでは良かったものの、勢い余ってサークルのタイヤに紐を絡めてしまったのだろう。

必死に取り返そうと頑張る3号。
その騒ぎに力の強い4号と、もしかすると1号も助太刀に来たのかもしれない。

グイグイと引っ張り合いをしたのか、爪か牙で引き裂いたのかは分からない。
引き千切れた縫い目から飛び散った綿にじゃれ付く猫達が疲れて私の毛布にやって来た頃には、皆の頭の中から残されたオモチャの事は消えてしまったのだろう。

「中身がだいぶ減ったな。」

とりあえずの応急処置として、避けた部分を縫い合わせる。
綿を補充するか、端切れで作り直すかは後日考える事にした。

「…まぁ、すぐ壊れそうだけどね。」

大変失礼な言い方になるが、元飼い主の女性は私と同じくらい不器用な方だと推察している。
そんな手先が器用ではない人間が何度も修理をしたオモチャなのだから、破壊魔の1号が手を下さなくても遅かれ早かれ同じ末路を辿っただろう。

「オモチャ、オモチャー!」

やっと目が覚めてきた3号が、嬉しそうに修理したばかりの小魚を取ろうとジャンプをする。
部屋の隅に放り投げてやると嬉しそうに咥えて戻ってきたが、その口元から覗く魚の大きさは昨日の半分くらいになっていた。
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