桜月はじめて物語

2008年2月28日(木) 503 / 4

相方が軽快ないびきを立てるこの時間

架鈴のプライベートタイムが始まる。
一人戦争ごっこだとか大運動会だとかお風呂場探検隊とか
猫砂荒らしとか真夜中窓際警備員とか。
あたしは電気を消して、狸寝入り大会を毎晩開催している。
架鈴はビビリなので、自分のテリトリー以外の場所を
あたしらの前でうろつくことはあまり無いので
狸寝入りで、今晩の動向をチェックしている。
健康管理も含めて。

相方にとって架鈴、というか猫は珍しい生き物ではない。
しかし、あたしにとって、架鈴の育児は毎日が大冒険。

カリカリのミックス配分から始まり、猫砂の適量だとか
架鈴の歩く場所の配線を考えたり、挙句の果てには
ブラッシング用ミストを吟味しだす始末。
全てが新鮮で、全てが初めてだから。
たとえ架鈴にとってのあたしのポジションが
メイド程度でも全然構わない。
下僕・・・はちょっとアレだけどね（笑

確かに、祖母宅に猫は居た。
でも、世話は祖母任せの適当な遊び相手だったし
あたし自身も猫って生き物を温かな動物、程度にしか思ってなくて。
だけど今のあたしは、架鈴の母親。
過保護にならない程度に大切に育てているつもりではある。

初めての、育児。
１歳半、人間で換算してもまだ幼稚園か小学校低学年の娘。
人間の育児は多々経験があるが、さすがに猫は初めてだ。
きっと人間の育児のほうがもっともっと大変なんだろうけど
あたしにしてみたら、日本語も英語も通じない猫娘を
育てることのほうがよっぽどのこと。

最初は、捨て猫の里親だった自分が
いつの間にかその猫のライフラインを管理していて
気付いたら母親になっていた。

人生ってわからないな、と思ったりしながらも
初めて架鈴が抱っこを許してくれたときの幸せを
あたしはきっと一生忘れることは出来ないだろう。

・・・と、まぁたまには真面目に語ってみた。
明日のカリカリは、どんなミックスにしようか。
そんなことをぼんやり考えながら、今日も狸寝入りに入ろう。
架鈴とあたしらの出会いは、またいつか。

ゆっくりゆっくり過ぎていく架鈴との時間。
あと１５年は見込んでいる。
ドロボウヒゲの似合うおばあちゃんになるんだよ、架鈴。

うん、大好き。

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