lemonbalm

愛媛県 60代 男性 ブロック ミュート

うちのネコ「モモ」は、最近目が見えなくなりました。昔はゴキブリ取りが得意でした。 モモの日記を、子猫の時から順を追って作成しています。 私は生物化学の研究者です。猫の生態学も研究しています...

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「猫のごはん考え直しませんか?その5」 糖尿病・肥満・心臓病
2023年4月3日(月) 429 / 2

前回、猫のごはんの炭水化物の量を調べました。



今回は、多量の炭水化物の摂取が猫にどの様な弊害をもたらすかを検討します。


容易に推察できるのが糖尿病です。

生物は、ブドウ糖を分解して活動のエネルギーを得ており、ブドウ糖はなくてはならない物質です。
炭水化物はブドウ糖を単位とする高分子です。

人間が、米、小麦など炭水化物を多く含む食物を主食にするのは、当然のことと言えます。
食事を摂ると、炭水化物は消化されてブドウ糖になり小腸で吸収されます。
血糖値が急上昇し、それに合わせて膵臓はインシュリンを生産します。
インシュリンは諸器官にブドウ糖を運搬します。

完全な肉食動物である猫の場合は、人とは事情が全く異なります。
肉には炭水化物がほとんど含まれていません。
肉を消化して小腸から吸収されるのは、主にアミノ酸(たんぱく質の構成単位)と脂肪です。
ブドウ糖はわずかなので、血糖値はほとんど上がらず、インシュリンもあまり作る必要がありません。

猫は、食事で体内に蓄えたアミノ酸と脂肪を変換して、ブドウ糖を作ります(糖新生)。
猫はマイペースでブドウ糖を作り、そしてインシュリンを作ります。
猫の体は、その様に合理的に出来ています。

もし猫が炭水化物の多い食事を摂ると、一度に多量のブドウ糖が流れ込み、大急ぎでインシュリンを作らなければいけません。
猫の膵臓は、それに対応するようには出来ておらず、大きな負担がかかります。
膵臓がダメージを受けて糖尿病になる猫も出て来ます。

炭水化物が肥満を招くことも推察できます。
炭水化物の摂取によって生じた過剰なブドウ糖は、グリコーゲンとして貯蔵されたり、肝臓で中性脂肪に変換された後に脂肪細胞などに貯蔵されます。

この猫は、去年10月からうちに遊びに来るようになった野良猫です。
Noraと仲がよく、Noraの妹と呼んでいました。





見ての通り、スリムです。
でも栄養不足と言う感じではありません。

ところが…

今年の正月、わずか2ヶ月半の間にこんなになっちゃいました。




ペットフードを与え続けた私のせいです。
冬を乗り切るために太ったほうが良いと思い、欲しがるだけ与えたのですが…。
太り過ぎです。


猫の糖尿病と肥満の原因が炭水化物である可能性が高いですが、より多くの実証データがほしい所です。

実は猫以外の動物で、すでにそれが実証されています。

その動物とは、人間です。
人類は、農業が始まる以前は、狩猟、採集で食べ物を得る、肉食動物に近い生活をしていました。
今でも、その伝統を守っている民族がいます。
その人達の食事は、高タンパク低炭水化物です。
しかし近年現代風の食事に変わり、炭水化物のウエイトが高まり、健康上の弊害が起こっています。
くわしい調査が実施され、原因が明らかになっています。

以下、実例を見ていきます(引用文献を末尾に記します)。

(1)エスキモー(イヌイット)


北極海沿岸で暮らすエスキモーの人達は、何千年も前から完全な肉食で、肉と魚だけを食べてきました。しかし、白人の食習慣が入り炭水化物を摂るようになって、糖尿病と肥満が増えました。

「Markedly increased intake of refined carbohydrates and sugar is associated with the rise of coronary heart disease and diabetes among the Alaskan Inuit」(ⅰ)
は、アラスカエスキモーの食事の変化と糖尿病、心臓病などの関連性を詳しく分析しています。
以下、要約します。
元々アラスカエスキモーは、炭水化物は実質0、カロリーは脂肪とたんぱく質から得ていました。
動脈硬化型の心臓疾患はほとんどありませんでした。
しかし西洋化による炭水化物の増加が高脂肪症をもたらし、動脈硬化による心臓疾患が激増しました。
1950年代には心疾患の発生率はわずか1%で米国の発生率の18分の1だったのに、1980年代半ばには心臓病による死亡率が米国と同じになりました。
糖尿病は、1950年代以前は事実上存在しませんでした。
炭水化物の摂取量が増え始める1950年代後半から2型糖尿病が急激に増え始めました。
彼らの健康状態は、炭水化物を減らすと、大幅に改善される可能性があります。

(2)オーストラリア先住民族(アボリジニ)
オーストラリアには、白人が入植する以前から何万年もの間その地で暮らす人たちがいます。
彼らは狩猟、採集生活をしていましたが、近年欧米の炭水化物中心の食事が入るようになりました。
「白人がさまざまな食料(小麦粉、砂糖、紅茶、ジャム、缶詰など)を持ち込んだことにより、アボリジニの人々の食生活はがらりと変わりました」(ⅱ)。
「肥満、糖尿病、高血圧が多く、早い人では糖尿病が20代の後半で始まって、40代になると3人に2人が糖尿病あるいは高血圧、50代になると9割。50代後半で100%」(ⅲ)
「都市部に居住しているアボリジニの間に生活習慣病(糖尿病、肥満、動脈硬化など)患者が増加している。伝統的な生活を送っているアボリジニにはそういった病気が見当たらない」。(ⅳ)

(3)ナウル共和国
太平洋諸島の島国で、人々は漁業を営み、ココヤシを食べていました。
ココヤシは、糖分もありますが脂肪が圧倒的に多い食べ物です。
現在のナウル人は、白米を食べています。すべて輸入に頼っています。
白米の習慣は、戦時中日本軍が占拠した時に持ち込まれたものかもしれません。
「ナウル人は白米が大好きです。ほとんど主食といっても間違いないでしょう…」。(ⅵ)
その結果、「人口の78.5%が肥満でこれは世界で最も高く、最大の死因は糖尿病である」。(ⅴ)

以上、狩猟、採集による肉食中心だった民族は、炭水化物を摂るようになって、ことごとく肥満、糖尿病、循環器疾患が増えました。


エスキモーの人たちは、生肉を食べていました。
肉と魚だけ、野菜は全然食べませんでした。
それで、糖尿病ゼロです。
高脂血症も循環器疾患も心臓病もほとんどない。
すごいと思いませんか?

生肉食べて炭水化物ゼロ、ネコさんと一緒ですね。
文献(ⅰ)の著者の「今のエスキモーの人たちが、昔のように炭水化物を減らすと、健康状態が大幅に改善される可能性があります」の言は、猫にも当てはまると思います。


Noraの妹、正月にネズミをお土産に持ってきてくれました。



せっかく持ってきてくれたお土産を、私は土に埋めてしまいました。
栄養たっぷりのネズミの肉をNoraに食べさせてやればよかった。
本当にごめん。

Noraの妹、最近来なくなりました。
きっと愛想つかしたんだと思います。
Noraは寂しそうです。

(次回に続く)



出典
ⅰ) 「Markedly increased intake of refined carbohydrates and sugar is associated with the rise of coronary heart disease and diabetes among the Alaskan Inuit」
https://openheart.bmj.com/content/4/2/e000673#T1
ⅱ) 「第8回:食生活を見直して"Close the Gap"!」
https://www.jvtacademy.com/blog/co/one/2010/09/close-the-gap.php
ⅲ)「肥満・糖尿病・高血圧のアボリジニの人たちを救いたい 3年間の壮大なドラマ」
https://news.nissyoku.co.jp/hyakusai/hgs-115-0002#
ⅳ) 「アボリジニとオーストラリア人の食生活#2」 https://www.roomeat.co.jp/shop/?p=339
ⅴ) wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%83%AB
ⅵ)「ナウル人はマグロの刺身と白米が好物!」https://www.gentosha.jp/article/19547/




*おことわり:グラフのトリ肉モモの数値が間違っておりましたので、訂正しました。
  訂正前 たんぱく質88% 脂質が18%、その他4%、炭水化物0%
 →訂正後 たんぱく質80% 脂質が17%、その他3%、炭水化物0%
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