
最初に、私は医師でも薬剤師でもありません。
20数年、製薬メーカーに勤務し販売から流通などに関わってきました。
昨今獣医師の間でも、飼い主さんの中でも話題になってるFIPに効果があると言われているお薬について。
私が知るところでは、このお薬の開発元であり国際特許をもっているのは、ギリアード・サイエンシス社だと思います。
本来、アフリカでパンデミック化しているエボラ出血熱に効果があるとされている抗ウィルス薬です。
一昨年あたりからアフリカで大規模な治験も行われ、その効果は80%とか。
日本政府も国立感染症センター?かどちらかに研究用として、エボラウィルスを輸入したという話もあります。また万が一、感染者の入国に備え、このお薬も備蓄されていると思います。
で、ギリアードサイエンス社はこの新薬については、猫用に販売する気はないようです。
動物薬を取り扱ってないため、アメリカでも人用、もしくは実験用に提供された原薬による猫への治験でしょう。
さて、ここから知ってもらいたいこと。
世界には特許を無視して製品を偽造する国があります。
有名ブランドバックからスポーツ用品、化粧品など。
実は医薬品も同じなんです。
これらは偽薬と呼ばれ、最近では2017年にひと瓶60万する新薬の偽薬が流通し大問題になりました。
もちろん、中身はまったくの偽物。
私が勤務していた会社も、その偽造された会社の製品を扱ってたので、他人事ではなかった記憶があります。
また、隣の大陸では近いうちに医薬品流通が崩壊するとまで言われています。
それは、平然と偽薬が流通し、効果がないならまだしも、毒性により死亡者が続出しているのです。
セレブが実費で日本の病院で治療する医療ツアーが人気なのも頷けます。
また、日本製の湿布剤や水虫薬などは、国内消費の倍の量が、来日した中国人に爆買いされてます。
外国客船が入港する港の近くに、不自然な立地の薬局があるのはそのためです。
偽薬の製造元は中国、台湾、インド、東南アジアなどですが、例えばED治療薬などの海外から安く入手する個人輸入品等は8割が偽薬です。
台湾の業界人は、我々の国の偽薬は少しは正規品の成分が入ってるが、中国のはまったく入ってないから酷いもんだ!と言う話も、呆れはてるも笑い話になってます。
みなさんも過去に中国からのサプリで肝炎などを起こし死亡したケースを耳にされたているかと思います。
ようは、人用のサプリさえあのレベル。
あのFIPの猫用の薬は恐らく中国で製造されているもの。
ギリアード社から販売、製造に対して特許侵害にて警告を受けながらも、動物用として販売しているものでしょう。
これが、人用だと更に国際特許違反となるので、動物薬にしているのだと思います。
偽薬と知りながら中国のA社の製品なら間違いないだろうと、個人輸入してみたら、実はA社のお薬の偽薬だったなんてことは普通なんです。
手を出す場合は法的な手続き(未承認動物薬の輸入は農水省に届け出)だけでなく、あくまでも偽薬であることを念頭に置いて判断してください。
追記
偽薬とは
先発品、メーカー品:
世界で最初に創薬、ライセンスで販売権を持ってるメーカー品
国により認可されている。
GE品、ジェネリック品、後発品:
特許切れしたメーカー品の主成分が同じ製品。
添加物が違ったりすることも。
国により認可されている。
偽薬:
上記メーカー品やジェネリック品のパッケージを偽装した偽物。
主成分も含まれてなく、中には毒物が混じってるものも。
国により認可されてなく、ブラックマーケット品。
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