トイレのしつけ、どうする?

猫とトイレの関係を本能から考える

昔は砂箱なんてことばがありました

猫のトイレと言うと、一般的にトレーに砂を入れた形状の物を思い浮かべます。では何故、猫のトイレは現在のような形状になったのでしょう?

猫には柔らかい地面を掘り起こして排泄するという本能があります。

排泄前にこの「掘る」という行為が重要になってくるわけです。どうやら猫達は掘る事により、排泄の欲求が高まってくるようなのです。

そして排泄後には「排泄物を隠す」行為をします。よく見られる「砂をかける」 という行為です。

猫はこれによって、獲物となる小動物や外敵、縄張りの被る他の猫から自分の存在を隠そうとします。特に単独で生活をする野生動物にとって、周囲にその存在を知らせる事は致命的な結果を生みかねません。

その為、自分にとって不利益な臭いを隠す為に「砂をかける」行為をする事もあります。気に入らないご飯に「砂をかける」動作をするというのもここから来ているのでしょうね。こういった本能的行為から、現在の猫のトイレの形状が出来上がりました。

これらを踏まえると、基本的に猫は砂とトレーという形のトイレを設置すれば、本能的にそれを使用するようになるという事になります。ただしそこにまた猫の気まぐれが影響し、「なかなかトイレのしつけが上手くいかない」と嘆いている飼い主さんもいらっしゃいます。猫がトイレを覚えてくれない原因は一体何なのでしょうか?

猫にトイレを選んでもらおう

猫にトイレを選んでもらおう

トイレのしつけに限らず、猫と暮らす上でとても大切な考え方。それは「猫に気に入ってもらう」という事です。

ここさえ押さえればしつけは完了したも同然と言えます。ただし、人間と一緒に暮らす以上、全てを猫の思いのままに決めてもらっては困る事が多々あります。

そこを人間がちょっと工夫して、「猫が気に入るように仕向けていく」ようにするのです。

猫がトイレを選ぶポイントはいくつかあります。

  • 砂の種類…砂の踏み心地、かき心地、匂いなど。粒の大きさにこだわる子もいるようです
  • トレーの形状…ドームタイプ、トレータイプ、フードタイプ。大きさ。隠れ具合にも個性が現れます
  • 周りの環境…人間だって落ち着かなかったり、汚いトイレはイヤですよね

自分の家の子がどんなトイレを好むのか、それはその子にしか分からない事です。トイレに関する様々な問題が起こった時、まるっきり別のタイプのトイレに変える事でピタリと改善されてしまう事があります。猫がトイレを覚えてくれない時、健康上の問題が無いのなら、トイレ自体を見直すようにしてみましょう。

一般的なトイレのしつけ

トイレを設置する

まずはトイレを設置する場所を考えます。

静かで気温の変化が少なく、尚且目が届きやすい、掃除のしやすい場所があれば最適です。周りを汚してしまった時の事も考え、絨毯や畳の上よりも床の方が良いでしょう。床ではない場所に設置する場合は、下に耐水性のマットを敷くなどすると掃除が楽です。

暑過ぎたり寒過ぎたりする場所は、猫が一番に避けたがる場所でもあります。トイレ以外での粗相や我慢してしまった為の膀胱炎なども考えられますので、猫が避けたがる場所に設置するのはやめましょう。

ネコジルシ内でも過去にこんなアンケートがありました。

トイレの場所はどこ?

部屋の中という意見が圧倒的多数ですね。やはり管理のしやすさ、目の届き具合などから部屋の片隅にトイレを設置するおうちが多いようです。

まずは狭い範囲から

トイレで排泄する事を覚えるまではトイレのある部屋から出られないようにするなどして、すぐにトイレに向かえる環境を作ってあげましょう。昼間留守にする家庭などでは、ケージを利用するのも効果的です。

ケージの中に、トイレと寝床しか無い場合、猫は寝床を排泄物で汚すのを嫌がりますので、自然にトイレを覚えるようになります。

トイレがインプットされるまで、トイレ以外で排泄するという選択肢を作らないようにするのがベストです。

子猫にトイレをしつけましょう

絶対に叱らない

猫がトイレ以外のところで粗相をしてしまった時、決してしてはならない事が叱る事です。粗相の最中に叱る事で、排泄する事自体を叱られる事として覚えてしまい、余計に隠れて排泄するようになってしまいます。

また、事後に叱っても、猫は「トイレ以外での排泄=叱られる」という風に理解する事はできません。人に対する不信感だけを植え付ける事になりますので、叱る事は無意味です。

トイレを準備すると最初の内、子猫が砂で遊んだり砂を噛んだり食べたりしてしまう事があるかもしれません。しかしこれも決して叱ってはいけません。それにより、トイレ自体に嫌悪感を持ってしまう事が多く、これも粗相の原因になってしまうからです。

砂で遊ぶ、砂を食べるといった行為は、トイレを覚えて使えるようになると次第に少なくなっていきます。そのトイレを気に入ってくれるためのプロセスだと思い、寛大に見守るようにしましょう。ただしあまりにも大量に口に入れてしまう場合などは違う材質の砂に変える事をお勧めします。

粗相をしてしまったら

違う場所で粗相をしてしまったら、速やかに排泄物を片付け、臭いが残らないように徹底的に掃除をします。

その際猫には一切関与しないようにします。

初めのうちは、猫をケージの中などに入れ、トイレで排泄をしたら室内に解放して遊ばせる、などのように粗相ができない環境を作るようにしていきましょう。

ネコの育て方もくじ