🚨ひと夏の思いで…第弐章

2017年8月8日(火) 403 / 12

※🚨付きゆえ、猫に関係ない話しです。
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ほぼノンフィクションです…

小学5年生の蝉時雨の夏に起こったことは、私が高校生になるまで、暗黙の了解と言いますか、まさにタブーとはこの事だなと。

高校に入学した夏に祖父が脳卒中で倒れそのまま還らぬ人となってしまいました。

長男である父は壱岐対馬に慰安旅行中で飛行機の都合で二日後しか帰ってこれなく、通夜には間に合いませんでした。

親戚一同集まり、なかには入学祝をその時に貰ったり。
通夜も葬式も祖父の家で取り仕切られるため、通夜から近所遠方の方々が弔問にこられてました。

親族も散会した夜半になって祭壇のある座敷には私と父の弟にあたる自衛隊員の末っ子叔父さんと二人で寝ずの番をすることになりました。

末っ子叔父さんは気さくな性格で、父とも歳が一回り以上離れてたので私には兄のような関係でした。

私は、ふと座敷の畳のささくれを撫でながら、この部屋であった5年前の話について切り出しました。

末っ子叔父さんは、この場でそれを聞くか？というような顔を一瞬しましたが、『大叔父さん、明日来るかな？』と呟いた後に、こう続けました。

あの日の数日前によ、死んじまった親父から電話で帰って来いと連絡あったんよ。
何か用か？って聞いたんやけど、話があるとだけ、言われたんを覚えちょる。

大叔父さんというより、本家の神主の叔父さんがみんなを集めたんよ。

大叔父さんの孫のYちゃんおるやろ？
最初はYちゃんが夜、家に誰かうろうろしとるみたいって気づいたんよ。

初めは叔母ちゃんか、女子高の寮に入ってる妹か単身赴任中のお父さんが帰って来てるんかと思ってたんやと。

ある晩、Yちゃんの部屋の前でボソボソ声がするので、ばあちゃん？お母さん？って声かけて廊下に出たんやけど誰もおらんかった。
そんなことが数回あったので、家族に話したけど、全員そんな時間は寝てた、って話になったんよ。

Yちゃんもその時は何とも思わなかったんだけど、ある晩またボソボソって声がするからドアに耳澄まして聞いたんやって。

したら…

…返して…返して………

って声が…

Yちゃん、思いきってドアあけたけど誰もおらんかった…
その途端に怖くなって、部屋が近かった大叔父さん(Yちゃんのおじいちゃん)とこに転がりこんだんよ。
日頃特に塞ぎ混んでたとかなかったし、大叔父さんも叔母さん達も誰も信じようとはせんかった。

それからはYちゃん、怖いから大叔父さんの部屋で寝ることにしたんやと。
数日、家族も気にはしてたけど夜は何も聞こえなかったのでYちゃん悪い夢でも見たんやろって。
ところがさらに数日たった晩に大叔父さんが便所から部屋に戻る時に起きたんよ。
大叔父さんの部屋で寝てるYちゃんの部屋から

ボソ…ボソ…

Yちゃんが部屋で寝ることにしたんかと思って自分の部屋に戻ったら、そこにはYちゃんがぐっすり寝てた。

大叔父さん、Yちゃんの話を思い出して流石に気持ち悪くなったけど、泥棒かもしれん…
と思って戻ってドア開けたんやと。

誰もおらん…明かりつけて押し入れ開けたりしたけど何もなかった…

大叔父さんは電灯消して、部屋を出ようとしたら…
ドアの横の姿見の鏡にさ…

何かが！？写ってたらしい…

家族の二人が見たり聴いたりしたもんだから翌日から尋常じゃなくなってな、叔母ちゃんが神主である実兄にお祓いとか出来ないかって相談したんよ。

と、末っ子お祖父さんは話をしました。

それでみんな集まったの？と私が聞いたら…
末っ子叔父さんは目を細めて私を見ながら

こっから先は、絶対に聞いたことも話ちゃなんねーぞ…死んだ爺さんの前で約束しろ…

妹叔母ちゃんからお祓いの話があった神主の叔父さんや、それを聞いた金太のお父さんも大叔父さんはボケたやら、猫かイタチでも入りこんだんやろと全く信じず半ば笑い話にしとったんや。

ただ、厳格だった大叔父さんが直接話したいと言うことで、神主の叔父さんを車に乗っけて金太のお父さんが大叔父さんとこに行ったんよ。

そこからの話は…

大叔父さんは二人を招いたが、お祓いの話も一切しなかったらしい。
結局、昔話や親族のたわいない話だけして神主の叔父さんも私の父も酒を振る舞われ結局泊っていくことに。

その晩、私の父が喉が乾いたのか尿意を催したのか、それとも何かしらの声が聴こえたからかは分からないけど…夜中に起きてしまった。

そして視線を感じその方向を凝視すると…

そこには、真っ赤な赤子を抱いた黒髪の女が天井にしがみついて父を睨んでたと…

父は発狂しながら大声を出して、そのYちゃんの部屋から飛び出していったらしい…

その後も大叔父さんが、出てけ！と発狂しながら枕元に立ってた女に札束投げつけたとか事が続いたらしく…

神主の叔父さんもお祓いなぞ経験もなく、急いで、つてをたどり祈祷師を呼ぶ手筈をした…
その話し合いがされたのが5年前のこの座敷での話だった…

何処の誰それの祈祷師を呼んだとか、その時払った金の話も聞いたんだけど、それよりも父が発狂するほどの何かを見てたことがショックでした。
あの時、私をいきなり怒鳴ったことも、辻褄があう…

その後、二回にわたる祈祷によりその血に染まった赤子を抱く黒髪の女の霊は現れなくなったらしいです。
末っ子叔父さんが言うには、大叔父さんの家の近くを流れる川に、昔、母子が投身自殺し母親だけ遺体があがった。
その母の霊が赤子を探して、成仏できずにさ迷ってたということらしい。
何故大叔父さんの家に幾度となく現れたのかは分からないけど。

何しろ本家は鎌倉時代から続く、小さいながらもその村の氏神様を祀る神社。
その一族が他所から祈祷師を呼んだともなれば村の笑い者になりかねない…

今となってはそんなこともあり、一族誰も口にするのを禁じられたのかなぁと思います。
私の記憶では一族会議はあの一回だけでした。

私の父は今、病院のICUをいったりきたり…
父は息子である私に、あの夜、自分に起こったことを、一切話すことなく生を終えようとしています。

しかしね、父さん、私も血は引き継いでましたよ…

私が実体験するのはそれから5年後

その話はどうしましょう…

写真はフラン用に買った、フミフミぐるみ
いかんせん…お役不足で興味全くなし…
ソファーでクッションに埋もれてしまってます。

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