ワクチン、避妊・去勢について

あなたの愛猫が自宅での生活に適応し、触れ合えるようになったと感じたら、次に猫の健康管理について十分に注意を払いましょう。もちろん、猫を飼い始める前からこのことを考慮に入れることが重要です。

健康管理に関して

定期的なワクチン接種は猫の健康維持に欠かせません。猫を譲り受ける際に、すでにワクチン接種が行われているかどうかを確認しましょう。当サイトの里親募集ページでは、ワクチン接種の有無が明記されていますので、念入りにチェックしてください。また、最終的に猫を引き取る際にも、改めて確認することをお勧めします。

ワクチン接種を受けていても、猫が体調不良を発症することは避けられません。猫の体力が低下している状態やストレスが原因で風邪などの病気にかかる可能性があります。猫が適切な量の食事を摂取しているか、水分補給が十分に行われているか、ストレスの原因となる環境にいないかなど、注意深く観察しましょう。

もし猫が水分補給を十分に行っていない場合は、水をこまめに交換する、水入れを変更する、フードによって水分量を調節するなどの工夫が必要です。何日か経っても食欲が戻らない、排便の状態が異常であるなど、少しでも気になる点があれば、速やかに獣医師に相談しましょう。定期的な健康診断も重要です。

健康管理に関して

猫との信頼関係が築けている場合、ブラッシングや手入れを通じて健康状態をチェックできます。目やにや鼻水の量が通常より多いかどうか、また、触れることで分かる異常があるかどうかを確認しましょう。普段は触られても怒らない場所で、突然威嚇や攻撃を受ける場合、飼い主さんが気づかないうちにけがをしている可能性があります。また、「先程まで怒らなかったのに威嚇された」という状況は、飼い主さんが過度のスキンシップを行い、猫の許容範囲を超えてしまったことが原因である可能性もありますので、注意が必要です。

去勢・避妊手術の重要性を検討

飼い猫に去勢・避妊手術を検討する際には、猫の成長段階を考慮することが重要です。成猫では手術が既に行われている場合もありますが、子猫の場合はまだ手術が行われていない可能性が高いです。里親募集の条件には「完全室内飼い、手術可能な時期になったら去勢・避妊をお願いします」と記載されることがあります。一頭飼いで完全室内飼いの場合、手術の必要性が疑問に思われるかもしれませんが、去勢・避妊手術の必要性を理解することが大切です。

発情期の影響

発情期には、オス猫はスプレー行為や鳴き声が増え、攻撃的になることがあります。メス猫も特有の鳴き声で鳴き、スプレー行為を行うことがあります。これらの行動は夜間や早朝にも続き、飼い主にとっては睡眠妨害や生活の悩みとなります。去勢・避妊手術を行っても発情期の行動が残ることがあります。

去勢・避妊手術のメリット・デメリット

去勢・避妊手術は、スプレー行為や鳴き声を抑えるだけでなく、発情期の性的ストレスを軽減し、望まない妊娠や特定の病気の予防にもなります。しかし、手術を受けた猫でもスプレー行為が続く場合があります。

手術には全身麻酔が必要であるため、麻酔のリスクについて獣医師と十分に相談する必要があります。また、手術後はエネルギー消費量が低下し、肥満になりやすくなりますが、これは飼い主が適切な食事と運動管理を行うことで対処できます。

室内飼いの猫にも手術が必要か?

発情期の猫は非常に騒がしく、飼い主にもストレスがかかります。また、オス猫は攻撃的になることもあります。しかし、猫にとって最もストレスフルなのは、発情期にパートナーがいない状態です。

室内飼いの猫にも手術が必要か?

室内飼いの猫でも、脱走のリスクがあります。猫が脱走して妊娠してしまったり、喧嘩や病気に感染してしまうこともあります。飼い主は猫のことを思い、適切な判断を下すことが重要です。また、体質的に手術ができない猫もいます。発情期は飼い主にも猫にも大変な時期ですが、抱っこしてお尻のあたりをトントンしてあげたり獣医さんに相談するなど適切なケアを行い、一緒に生活していくことが大切です。

去勢・避妊手術の適切な時期

一般的には、生後6ヶ月から1歳までの間に体重が2キロ以上に達した猫には、手術が可能です。

この期間に手術を行う理由は、猫が初めて発情期を迎える可能性が高いためです。手術を発情期前に行うことで、発情時の行動を抑制できます。

ただし、猫によっては生後5ヶ月で発情期を迎えることもあります。早すぎる手術は猫の体力や成長に影響を与えるため、獣医師と相談して適切な時期を決めましょう。

また、地域によっては去勢・避妊手術に助成金が支給されることがあるため、事前に調べておくと良いでしょう。

手術前後のケアについて

手術前には、猫の食事やワクチン接種の状況を確認しましょう。手術中に胃に食べ物が残っていると、全身麻酔で力が抜けた猫が嘔吐するリスクがあるため、病院によっては12時間の絶食が求められることがあります。

術後は、消化器官の機能が正常に戻るまで時間がかかります。食事を与える適切なタイミングや、抜糸が必要かどうかなど、獣医師と確認しておきましょう。

また、投薬が処方される場合は、投薬の方法やコツを獣医師に教えてもらいましょう。事前に相談しておくことで、飼い主と猫のストレスを軽減することができます。

全身麻酔や術後の薬の影響で、猫の食欲や便の状態が変わることがあります。通常、1日~2日程度で問題ないとされていますが、状態が改善されない場合や傷口に異変がある場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。

著者紹介

上杉 華子(猫コンシェルジュ)

猫に関する専門家として猫の知識と経験が豊富で、猫の飼い主たちから高い評価を受けており、
猫の行動学や猫種の特徴、猫の健康や栄養管理など、猫に関する様々なトピックについて情報発信。
猫に関する情報が科学的根拠に基づき、そして分かりやすい言葉で説明していることを心がけ、猫の世話やしつけ方法、猫の病気や予防策についてのアドバイスを提供しています。
幼いころから猫を飼って育った自身の経験をもとに情報発信を行い、保護猫の里親探しや猫の福祉向上を目指して活動中。