えりかの猫本レビュー

第24回 あたたかく儚い絵本「ネコママとちびたち」


あけましておめでとうございます。2007年になりましたね!
2007年も頑張って精進致しますので、
今年もこの「えりかのコラム」をよろしくお願い致します。
では、新年第一回目のえりかのコラム。
今回のご紹介は「ネコママとちびたち」。
きれいな色彩の、儚げな絵本です。
ごゆっくりご覧下さい。












「絵本」というものの定義。

それはまず第一に「絵」があること。
絵が無ければ、「絵本」にはまずなりません。
この「ネコママとちびたち」の絵は、
とても温かい色と、臨場感のある色選が
印象的な絵本です。








決してリアルな絵ではなく、どちらかと言えば
漫画寄りな絵ですが、動きがある絵です。
動きと、奥行きがある絵です。
色のぼかし方が上手で、見ているだけで
吸い込まれそうな、ずっと見ていたい様な
そんな気分にさせるのがこの絵本の挿し絵です。






この本の表紙には、ネコママを中心に
ネコママの子供達が彼女を囲んでいます。
茶トラ、キジトラ、白黒、三毛。
ネコママも、子供達に囲まれてなんだか誇らしげ。
あたたかな、薄桃色の空気に包まれて
幸せそうな、どこにでもいる猫の一家です。







ネコママは、お腹をすかせた子供達のために
ご飯を一生懸命探します。
どの生き物の親でもそうだと思いますが、
お腹を空かせている我が子を見ることほど
辛いことは、そう無いと思います。









ネコママも、お腹をすかせたちびたちのために、
自身も空腹の限界を感じながら、
ご飯を探しに出かけます。








そして、絵が無くなります。
ネコママも、ちびたちも、一切出てこなくなります。
あれだけあたたかかった絵が、あれだけ色鮮やかに
描かれていたちびたちが、一切出てこなくなります。

灰色のページに、文字だけが連なります。
そこにあるのは、悲しい悲しい出来事でした。








この絵本の最後のページには、平成15年度に
殺処分された犬と猫の頭数が記されており、
都道府県ごとに、詳しく書かれてあります。
例えば、平成15年度、猫の殺処分数が一番多かった
愛知県では16,646匹。一万六千六百四十六匹。
あれだけ被害者の多かった阪神大震災の死者数が6,436名
一年で、その数の約2.5倍強の数の猫が殺処分されているのです。
そして一番少なかった福井県でも1,294匹。
絶望的な数字です。





の絵本は、去勢避妊の大切さを訴えた絵本です。

去勢避妊については、いろいろな考えがあるでしょう。
反対な方も、賛成な方もいらっしゃいます。
どちらの考えの方でも、一度、この絵本を読んでみませんか。
きっと、考えさせられる部分があるはずです。





平成15年度に殺処分された猫達は、267,214匹。

実感できますか?
あなたが今飼っている猫が亡くなったとします。
その重さの、267,214倍なんです。

もう一度書きますが、
平成15年度に殺処分された猫達は、267,214匹。

その全ての猫達の冥福を祈ります。










ネコママとちびたち

おなかをすかせたちびネコたちのために、必死で食べものを探し続けるネコママ。「生きる」ということしか考えない動物の命を、人間はいとも簡単に奪ってしまう…。殺処分数を減らすための避妊・去勢手術の必要性を訴える絵本。





次回は1月21日更新予定!次回も是非見てくださいね!

Auther:

★えりか


ご覧の通り、絵も文もゆる〜い感じで進むこのコラムですが、皆様のお目汚しにならないよう、しこしこと精進しながらがんばっていきますので、どうかよろしくお願いいたします。

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