えりかの猫本レビュー

第32回 猫の育て方が分かる本「ジェニィ」


桜前線も北上している4月後半、
皆さんもぽかぽかしておられるでしょうか。
春の日差しは、体にも心にもあたたかく、
そして猫にも嬉しい季節ですね。
今回のえりかのコラムは、前回同様
ポール・ギャリコさん著「ジェニィ」の
ご紹介です。ごゆっくりご覧下さい。












んとに猫が大好きな人なんですよ。

ポール・ギャリコさんって。
前回のコラムでもそう書きましたが、
ほんとに本当に猫が好きな人なんですよ。












まず、あらすじから紹介しましょうか。

いきなり猫になってしまった
猫好きな少年ピーター君。

そのピーター君が出会った雌猫ジェニィ。
今まで人間だったピーター君は、猫の暮らしを
知らないものですから、ジェニィに猫の常識や
考え方、生活の仕方などを教わり、生活を共にします。











要は、ジェニィがピーター君を
「猫として」育てる物語です。

ピーター君が立派な猫になってくるにつれ、
物語は二匹の猫の、冒険物語になっていきます。












ジェニィがピーター君に授ける言葉は、
著者のポールさんが書き出しているものですが、
この人、ほんとは猫なんじゃないかと
思わせてくれる程リアルで忠実です。









例えば、猫の毛づくろい。
あなたはアレを言葉で表現できますか。
猫の常識を教え込む、ということは
まず毛づくろいに始まるらしく、
ジェニィはまず毛づくろいの仕方を
ピーター君に教えます。

「疑いが起きたら どんな疑いにせよ 
 身づくろいすること」


これが規則第一号だ、とジェニィは言います。

「もしあんたが何か過ちをしでかすとか
 人に叱られたような場合、身づくろいするの。」


猫って、しますよね。
そういうときにしますよね。










毛づくろいの必要性から始まり、
実践、応用まで、ジェニィの講義は続きます。

前回紹介した「猫語の教科書」が
猫の人生をガイドする本だとしたら、
この本は猫の習性を掘り下げる
いわば、猫の子育て本。

猫を飼っていない方も充分に楽しめます。
もちろん飼っている方も楽しめます。
というよりも、別段猫が好きではない方も
楽しめると思います。













物語自体が、とても素晴らしいんです。
全体に漂う、さっぱりとした切なさが
大人の感受性を刺激します。
楽しいだけのお話でもなければ、
ジェニィとピーターかわいいね、で
済むお話でもありません。













間が猫になり、猫に出会い、

二匹は冒険に出かけます。

上記の文の中には切なさや寂しさなど
微塵も感じませんが、この本の中には
そういったものがたくさん詰め込まれています。











猫好きじゃないと書けない話です。
猫好きじゃないと、見えない切なさです。

多少の覚悟と共にお読み下さい。











ジェニィ

猫になってしまった少年ピーターが出会った、素敵な猫ジェニィ。ピーターはジェニィから猫として生きる術を学び、二匹はお互いにとってかけがえのない存在となっていく。全ての猫好きに贈る、大人の童話。





次回は5月13日更新予定!次回も是非見てくださいね!

Auther:

★えりか


ご覧の通り、絵も文もゆる〜い感じで進むこのコラムですが、皆様のお目汚しにならないよう、しこしこと精進しながらがんばっていきますので、どうかよろしくお願いいたします。

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